視力回復の自然食として注目が集まっているブルーベリー。その効果をもたらす主成分アントシアニンは、近年、その効果が目だけに留まらず全身にも作用することが明らかになっています。錆びないカラダづくりなど、一役どころか二役も三役も活躍するアントシアニン。そのパワーと、アントシアニンをリッチに含む、ブルーベリーの王様「ビルベリー」についてご紹介します。
古くからヨーロッパでは、ブルーベリーの野生種であるビルベリーが胃腸薬や白内障、壊血病の治療薬として重宝されてきました。日本では1997年に、大阪外国語大学・保健管理センターの梶本修身氏が「ブルーベリーの眼精疲労に対する効果」を発表したことで、一躍評価が高まりました。
ブルーベリーが持つさまざまな効能の源はどこにあるのでしょうか?
それは、あの美しい紫色を作りだす天然色素アントシアニンです。アントシアニンは、ビタミンC、Eの5倍という高い抗酸化作用で注目されるポリフェノールの1種。つまり、老化や生活習慣病、がんの発生にも関与していると言われる活性酸素を撃退するパワーを持っています。
ブルーベリーと言えば、「目の健康管理に優れた食品」という理解がすっかり定着していますが、それはアントシアニンが秘めた力のごくごく一部に過ぎないのです。
■ ロドプシンの働きが「カナ目」です
具体的に、アントシアニンが持つその効果についてみていきましょう。
もちろんまずは「視力回復」。私たちの目の奥には網膜と呼ばれる、ちょうどスクリーンに似た働きをする部分が存在します。瞳を通って入ってきた光はここに投影されます。すると、網膜上に広がる視細胞が、その刺激をキャッチ。電気的なシグナルに変えて、視神経に信号のバトンを渡します。この信号がやがて脳に伝達されて、はじめて私たちは物を見ることができるのです。
しかし、酷使された目では、光の刺激をシグナルに変換するときに重要な役割を果たす視細胞のロドプシンの働きが悪くなります。またストレスから、視細胞に栄養を届けるはずの毛細血管がつまったりして、目が“栄養失調”で悲鳴を上げることもあります。
アントシアニンには、このロドプシンの働きをよくする作用があり、その有効性が多くの実験で立証されています。「ブルーベリーが目に効く」と言われる由縁です。
目が見えにくくなる原因 |
極度の眼精疲労 |
目が疲れるとロドプシンの働き(再合成)がスムーズにいかなくなる。 |
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血流が悪い |
毛細血管がつまったり、血管壁に負担がかかることによって、目に酸素や栄養が行き届かなくなる。
とくに糖尿病では網膜症や緑内障になりやすい。 |
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酸化 |
目が酸化されることによって、劣化・老化・変性が早まる。
(白内障や黄斑変性症の原因) |
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また、アントシアニンには、ロドプシンに直接働きかけるだけでなく、血管を保護・強化し、血流の改善を促す作用があることが明らかになっています。
先程の目の例では、毛細血管のつまりを改善し、安定した血の流れを生みだすことは、眼球の隅々までしっかりと栄養を送りとどけ、目の健康維持を土台からサポートしてくれる効果をも期待できるというわけです。
こうした血管の保護・強化作用が有効なのは目だけの話ではありません。
血流の改善・正常化は、だるさや冷えといった、慢性的な不調を和らげるだけでなく、動脈硬化や脳梗塞、脳卒中、冠動脈疾患など、おそろしい循環器系の疾病リスクを大幅に軽減することにも一役、買います。
アントシアニンには、もう一つ注目されている働きがあります。それが、脳機能の改善です!
脳は人の身体のなかで、とくにたくさんの酸素や栄養素を必要とする、いわば大食らいの臓器。そのため、これらを運ぶ血流の良し悪しが、パフォーマンスに大きな影響を与えます。
アントシアニンは、その血流の改善機能で、十分なエネルギーを運んで脳細胞を壊死から守ったり、高い抗酸化作用で活性酸素を消去。脳神経をダメージから守ると考えられています。
50代〜70代の男女に対して、3ヵ月間にわたって行った調査では、アントシアニンを摂取したグループは、単語の記憶・想起を比較するテストで、摂取前にくらべ成績が向上。アントシアニンによる脳機能の改善が認められる、という分析結果が出ています。
アントシアニンを効率よく摂取するにはどうしたらいいのでしょう?
一口にブルーベリーといっても、その種類はじつに150種にも上ります。しかし、中でもアントシアニンを断トツに多く含むのは、フルーツではなく野生種のハーブに分類される「ビルベリー」。
ふつうのブルーベリーは、皮の部分のみが紫色をしていますが、ビルベリーは皮だけなく、実の中心部までがアントシアニンで紫色に染まっています。その含有量は、栽培種ブルーベリーの3〜5倍という高濃度! とりわけビルベリーが結実する夏に白夜となり、大量の紫外線を浴びるヨーロッパ産は、もっとも品質的にすぐれています。
ただし、ビルベリーの収穫は、野生種であるため原生林の奥に分け入り、一つひとつ手摘みで収穫しなければならずたいへん稀少。そして栽培種にくらべ酸味が強く、そのままでは食用には向きません。
また、アントシアニンの効果は体内で約24時間持続し、体質改善には3〜4週間くらいは最低、継続するのが理想的ということを考えると、毎日、気軽に取れるビルベリーの加工食品をうまく利用するのが、明日からすぐに始められる方法といえるでしょう。
アントシアニンの効果 |
視力回復 |
眼精疲労、近視、遠視、老眼、白内障、飛蚊症、黄斑変性症、網膜はく離、緑内障 |
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毛細血管強化・保護作用・血小板の凝固抑制・血流改善 |
冷え、動脈硬化、脳梗塞、脳卒中、冠動脈疾患、静脈瘤、潰瘍、痔 |
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その他 |
がん、糖尿病、足のむくみ(浮腫)、尿路感染症、月経困難症、創傷治癒活性、関節炎、コラーゲン基質強化 |
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