牡蠣と人との蜜月関係オイシイだけじゃない牡蠣の実力
欧米ではその栄養価の高さから「海のミルク」などとも呼ばれる牡蠣。人と牡蠣の歴史は古く、体力増強、滋養に役立つ貴重な食べ物として、古代ギリシャではすでに養殖が行われていたと言われ、2000年前の中国の薬物書「神農本草経」にもその効能が記されています。
牡蠣には、人間に必要な栄養素がまんべんなく含まれています。三大栄養素である炭水化物、脂質、たんぱく質はもちろんのこと、ビタミン、ミネラルにも富み、まさに「完全食品」といっても過言ではありません。人類が古くからこれに着目するのも当り前というわけです。
豊富なグリコーゲンで即効性のある滋養・強壮効果!
牡蠣の栄養素のなかで、まず注目に値するのが、グリコーゲンの高含有率。牡蠣は陸に上げられエラ呼吸ができない状態でも、なんと10日間ほど生きつづけられる驚異の生命力を持っています。その秘密こそ、このグリコーゲンにあるのです。
ふつう私たちは、食事によってデンプンなどの糖質を取り込み、体内の酵素によってグリコーゲンの形に変換し、肝臓や筋肉にスタミナ源として貯蔵します。蓄えられたグリコーゲンは、肝臓の解毒作用や、筋肉を動かすエネルギーとして利用される仕組みです。
しかし、もともとグリコーゲンを多く含む牡蠣を食べた場合には、胃腸の働きを要さずそのままただちに体内に吸収することができるのです。
古くから牡蠣が、即効性の高い滋養・強壮剤(精力剤)と言われてきたのには、こんな理由があったのです。
タウリンの知られざる効果疲労回復だけじゃない! 脳卒中も予防
牡蠣には、20種の良質なアミノ酸が含まれています。とくに含硫アミノ酸の一種、タウリンが豊富です。タウリンは、その疲労回復効果から、多くのドリンク剤の成分として利用されているので、皆さんその名を聞いたことがあることでしょう。 また、新生児の発育に欠かせないことから、粉ミルクにも添加される大切なアミノ酸です。
近年は、このタウリンに疲労回復だけではなく、生活習慣病予防の効果があることが分かってきました。ラットを用いた実験では、血圧の上昇を抑え、動脈硬化の発生原因となる血中コレステロールを減らす成果も報告されています。
ホルモンバランスを崩す亜鉛不足に要注意!
銅や亜鉛といったミネラルは、微量ながら生命活動に必要不可欠な元素です。しかし、現代では、加工食品の過剰摂取など食生活の乱れから、こうした微量必須元素の欠乏症が増えています。とくに、各種ホルモンの分泌に欠かせない存在の亜鉛が不足すると、味覚障害や白内障、肝臓病、精子形成の減少、生理不順などを招きます。
厚生労働省の発表による「日本人の食事摂取基準」では、成人男性の場合、1日9mgの摂取を推奨しています。そして牡蠣の亜鉛含有率は、数ある食品のなかではダントツ!実にブタの25倍、イワシの9倍にも匹敵します。効率の良い亜鉛摂取に、牡蠣はまさに打ってつけというわけです。
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